「国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源」 ジェイムズAロビンソン、ダロンアセモグル 


アナタはどんな「制度」の中にいるか知っていますか?
知らなくて本当に大丈夫ですか?

《制度の歴史》


歴史を学べばなにが見えてくるのでしょうか?


それは、失敗とその原因です。


そして、失敗の原因として常に挙げられるのは格差です。


歴史を紐解けば、格差が生まれたことで多く人の中に不平不満がたまり、結果的に戦争や革命が起こってきたことがわかります。


つまり、人類史は格差の歴史とも言えます。


では、格差はどうして生まれてしまうのでしょうか?


その原因は無知説、地理説、文化説等々、さまざまな説が挙げられています。


地理説で世界的に有名な本はありますし(後日投稿予定)、


無知説は学者の中で推されている説です。


ただ、これらの説とはどれも違い、尚かつ説得力のある説が「制度」です。


人類は「制度」を作ったことで格差が生まれました。


さらに「制度」は格差を生むだけではなく、


国家レベルでの衰退を引き起こす原因に、逆に繁栄の材料にもなるとも言われています。


たしかに、「制度」という観点で歴史と今を見比べると、今の日本社会がよく見えてきます。


では、「制度」にはどのような歴史があるのか?
そしてなぜ、衰退と繁栄を生むのか?
果たして、日本の「制度」は大丈夫なのか?


それを知るにはこちらの本をオススメします。


「国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源」 ジェイムズAロビンソン、ダロンアセモグル



《長年の集大成》


二人の経済学者による15年にも及ぶ共同研究の集大成であるこの本は、数式や統計分析は表立って出ないものの、


論理的で実証的な論文のもと説明されているのでかなり納得のいく内容になっています。


「制度」という斬新な切り口で展開されている新しい国家論は、世界各国で話題になりました。


では、具体的に「制度」はどういったものがあるのでしょうか?

《収奪的制度》


この本では「制度」は二つあると言います。


その一つが収奪的制度です。


収奪的制度とは、


多数の資源を少数の権力者が搾り取る構造で所有権を保護せずに、経済活動へのインセンティヴも与えない制度のことをいいます。


カンタンに言えば、一部の権力者だけが甘い蜜を吸いつづけるような制度のことです。


そして、それが国家を衰退させる原因であると説いています。


つまり、貧しい国が貧しい理由は地理や無知が原因ではないのです。


権力を握っている人々が貧困を生み出す制度を作るからであり、故意なのであると。


そう、貧しさは故意的に作られているのです。


収奪的制度をとっている国の特徴として、基本的に技術革新は起こりません。

その理由は、権力者がイヤがるからです。


詳しく説明していきましょう。


まず、技術革新が起こるには創造的破壊が必要になります。


もし、その創造的破壊が起きれば既存の常識を壊されてしまいます。


権力者は、この既存の常識を壊されることが一番イヤなのです。


なぜなら、既存の常識を作って甘い蜜を吸ってきたからです。


権力者にとっては、技術革新なんて起こされたら今の地位が崩壊する可能性があるのでたまったもんじゃありません。


なので、権力者は自分の地位を守りたいがために収奪的制度をとり、その制度の国では技術革新は起こらないのです。


そしてそれが結果的に、国自体が発展しないどころか衰退してしまう原因になるのです。


歴史を辿ると、衰退した国はこの制度をとっていたことがわかります。



《包括的制度》


では、逆に国が繁栄する制度はどのようなものでしょうか?


それは、包括的制度と言います。


包括的制度とは、所有権を強化し平等な機会を創り、新たなテクノロジーとスキルへの投資を促す制度のことです。


さらに、包括的制度は自由なメディアを発展させます。


自由なメディアは包括的制度への脅威に関する情報を提供し、それに対する抵抗勢力を結集させることが多いのです。


ただ、包括的制度の一番の問題は、自然に生まれるものではないということです。


収奪的制度を取っている権力者に対して反逆する人間が争いを起こさないと生まれにくいのです。


つまり、戦って血を流さないと生まれないということ。



《繫がりを見つける。》


以上がこの本の主な説明になりますが、僕はこの本を読み、いろいろな繫がりが見れて面白いなと思いました。


どんな繫がりかというと、ある情報源と別の情報源との繋がりです。


もっとわかりやすく書きますと、


この本の情報と、先日紹介した「暴力と不平等の人類史」に書かれてあった情報との繋がりです。


紹介したように「暴力と不平等の人類史」では、


不平等や格差を破壊し平等を手にするには暴力が必要であると説いています。


そして今回紹介した本では包括的制度、つまり国を繁栄させるには、権力者に反逆し戦わないと生まれにくいと説いてあります。


つまり、どちらも本(情報源)は違いますが、平等を生むために争いは必要だと説いています。


たった二冊からの繋がりですが、


普遍的で説得力のある証拠になるので、繋がりを見つけることは重要なことなのです。


そしてなんといっても、歴史を学んでいる中で一番おもしろい瞬間が繫がりが見つかることです。


歴史書は色んな説が書かれているので、今まで読んだ歴史書の情報を参考にしながら読むと、違いや一致を発見できるので、この読み方をオススメします。



《現代日本社会との繫がり》


もう一つおもしろい繫がりが、現代日本社会との繫がりです。


包括的制度では自由なメディアを発展させ、


自由なメディアは、包括的制度への脅威に関する情報を提供し、それに対する抵抗勢力を結集させることが多いと書きました。


では、今の日本のメディアはどうでしょうか?


国民が政治に関心を向けないような仕掛けをしていませんか?


特にテレビに出る人間が、政治的発言(というより現政権批判)をすることがタブーみたいな風潮はおかしくありませんか?


そう考えると、日本はこの本で書いてあった自由なメディアではありませんね。


ということは、日本の制度は収奪的制度の要素も入っているということ。

それもメディアが収奪的だと、かなり危険なことだと思うんですよね。

《アナタはどう見る?》


もちろん、この繫がりは僕が個人的に感じたものなので、絶対的なことではありません。


ただ、アナタはどう見ますか?


これが一番大切なことだとおもうんですよね。


歴史を学び、現在とリンクさせ、繫がりをみつけ、どう感じるのか?どう思うのか?


アナタ自身の意見を持つことが重要なのです。


歴史を学べばモノゴトを俯瞰して観れるようになり、冷静に対応できるようにもなります。


ぜひ、この本を読んで歴史と今を見比べてみてください!


「国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源」 ジェイムズAロビンソン、ダロンアセモグル